泣くということ

泣くということ

猛暑ですね!

皆様体調はいかがでしょうか?わたくしは少しばてましたが、今夏は頼もしい漢方にであったので年齢の割に楽なのではないかなと感じています。

いまオペラ2つを並行しながらほぼ毎週コンサート等に出演しているのですが、テノールとして2つ目のオペラになるラボエームではこれまでのなかにも出てこなかった泣くという部分があります。

泣くという演技って書くと演技ってになるからあれなんですけど、不思議なもので相手役が本当に死ぬと思うと泣けてくるんですね、最近ではそのラボエームの相手役のミミのアリアを聞くだけで少し泣けてくるくらいです。

みなさんに感動していただくためにも嘘ではなくて本当にロドルフォになってミミとの悲劇を歌えたらと思います。

そんな貧乏な世界でお金もないから彼女を救えない!なんていってる役を稽古しながら9月にある仮面舞踏会というオペラの稽古も始まっています。

今回初めて町田市で演奏するんですが、町田にあるオペラの団体は上演回数が凄いんですね、イタリアのそこらへんの街よりよっぽど上演してるかもしれません。しかも平日のお昼に満席になるらしい!素晴らしい!

そのシリーズのうちのひとつで9月11日に仮面舞踏会。

これはね思い入れがありまして、バリトンとして最後に出たオペラなんですね、その後にもバリトンとして出たオペラはあるんですが、この仮面舞踏会が最後に挑戦したオペラで、いわゆるヴェルディバリトンと呼ばれるやつでして、それはもう楽しくて楽しくて仕方がありませんでした。

1幕では主役テノールリッカルドの右腕として、音楽のなかでも重要な役割だったんです、ただテノールの主役と自分の奥さんが浮気してるんですね、2幕でばれて3幕の頭でそれはもうブチ切れてその時の音楽と言ったら!

自分のなかにこんな怒りを表現するのにほとばしる何かを感じてしまって新境地のような、いや、なんか悪いことのような…

とにかく音楽が本当にかっこいいんです。

で、今度はテノールのリッカルドという役を歌わせていただくわけです。

彼はまぁ自分の右腕であるレナートの奥さんを好きで、いやいやダメだよダメって言ってるんですけどね、でもまぁ気持ちは向いてるわけですよね、3幕でレナートに撃たれて、まぁ事の次第を吐露するんですけど、まぁ死にますね。5月に歌ったルチアは自殺でしたが、今年二回目の自分が死ぬパターンです。

今日も稽古でしたが、行きがけに組違のテノールさんがこう言ってました。

自分が死ぬ方がやっぱいいよね、死なれるとさ、なんか残っちゃうよね。

なんかここだけ切り取ると残酷なんだけど、死を通して生きる事の大切さを学んでる気がします。

いままでより歌いたい、もっとうまく、もっとみなさんに感動してもらいたい、と思うようになりました。

テノールになって大変な事もあるけれどなってよかったなって思うことがたくさんあって、本当によかった!やっぱりテノールだったんだな!

ラボエームは今週末!張り切って泣いてきます!

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